ポータブル電源には寿命があるのでしょうか。ポータブル電源の気になる寿命について解説します。
ポータブル電源の寿命は長くても10年程度
ポータブル電源は、残念ながら一生使えるものではありません。ポータブル電源の寿命は、一般的には長くて10年です。寿命を迎えると、充電に時間がかかったり、すぐに充電が切れたりします。
多くのポータブル電源にはリチウムイオン電池が内蔵されていますが、電池の寿命は充電と放電のサイクルにして約500〜4000回とされます。ポータブル電源が寿命を迎えても、まったく使えなくなるわけではありませんが、充電に時間がかかったり、すぐに充電が切れたりするようになったてきたら、買い替えどきといえるでしょう。
ポータブル電源の寿命を延ばす方法
いざという際に活躍するポータブル電源ですが、肝心なときに動かないと困ってしまいます。ポータブル電源の寿命を延ばす方法を3つ解説します。
保管場所の温度・湿度に注意する
ポータブル電源は、直射日光下や高温多湿の環境、逆に気温が低すぎる環境に弱い製品です。そのような環境下では、内蔵されているリチウムイオン電池に大きな負荷がかかってしまいます。ポータブル電源が最もパフォーマンスを発揮するのは、25度C前後の環境下といわれています。
そのため、ポータブル電源の使用・保管場所には注意しましょう。保管時は屋外に置きっぱなしにせず、涼しくて風通しのよいクローゼットなどに保管することをおすすめします。
バッテリー残量を満充電orゼロにしない
ポータブル電源はフルの状態まで充電しても、逆に残量がゼロでも電池に負荷がかかり、寿命を縮める原因となります。ポータブル電源は頻繁に使うものではないので、長期間放置しているとバッテリーがゼロになってしまうでしょう。
そのため、残量を60〜80%の状態を維持して保管しておくのがおすすめです。そして半年に1回程度は残量を確認しましょう。継ぎ足し充電をしても、バッテリーに悪影響はありません。ただし、充電が終わっているのにACアダプターをつないだままにすると充電と放電を繰り返すため、これも寿命を早める原因となります。
パススルー充電での使用は避ける
パススルー充電とは、ポータブル電源の充電をしながら電化製品への給電を行なうことです。一部にはパススルー充電に対応している製品もありますが、電源を長持ちさせるならば避けたほうがよいでしょう。 パススルー充電は、バッテリーに大きな負荷をかける行為です。ハブ電源のように使えて便利ではありますが、ここぞというとき以外はパススルー充電を避けることをおすすめします。
ポータブル電源が活躍するシーン
ポータブル電源は持っているものの、使うタイミングが分からない人もいるかもしれません。そこで、ポータブル電源が活躍するシーンを2つご紹介します。これで、いつ使えばいいのか把握しておきましょう。
キャンプや車中泊などアウトドア
ポータブル電源は、キャンプや車中泊などのアウトドアで重宝します。不便さを楽しむのもキャンプの醍醐味の一つですが、電気が通っていない自然の中においては、ポータブル電源があると何かと便利です。
アウトドア環境でも炊飯器やIHクッキングヒーターを使えたり、扇風機や電気毛布を使えたりします。また夜にはプロジェクターをつないで映画を楽しむこともできるでしょう。スマートフォンの充電が切れても安心です。キャンプの楽しみの幅を広げてくれるアイテムといえます。
災害や停電などの非常時
コンセントにつながなくても電力を供給できるポータブル電源は、災害や停電が起こった際にも活躍します。ポータブル電源があれば、停電が起こっても数日間は耐えしのぐことができるでしょう。
スマホなどの電化製品の充電ができるのはもちろん、ラジオで情報収集をしたり、キャンプ時と同じように扇風機や電気毛布を使ったりもできます。モデルによっては、炊飯器などの調理器具も使用可能です。万が一のときに持っておきたいアイテムでしょう。
ポータブル電源の買い替えを検討している人に向けて、ポータブル電源を選ぶ際のポイントを解説します。普段あまり目にすることのない単位や用語も登場するので、しっかりと押さえましょう。
目的に合った電池容量
ポータブル電源のバッテリー容量は『Wh(ワットアワー)』で判断します。この数値が大きいほど容量も大きくなり、同時に本体のサイズや重量も大きくなる傾向があります。
テレワークや日帰りのアウトドアで使うなら、350Wh以下のモデルがおすすめです。軽量で持ち運びもしやすいものが多く揃っています。
小型冷蔵庫や炊飯器などの消費電力の大きい家電を使いたい場合は、500Wh程度の容量があると安心です。連泊でキャンプをする場合や、災害に備えて数日分の電力を確保したい場合は、600Wh以上の製品を選ぶとよいでしょう。
周波数は「50Hz」と「60Hz」
日本国内では、関東と関西で流れる電気の周波数が異なります。関東では50Hz、関西では60Hzの電気が流れています。そのため、関西で買った家電が関東では使えない、といった事態が発生するケースがあるのです。
近年では、どちらの周波数にも対応している『ヘルツフリー』の家電が増えましたが、ポータブル電源はどちらかにしか対応していない製品が多くなっています。使用する家電の対応ヘルツ数に合わせて、ポータブル電源を選ぶことが重要です。
出力端子の種類と数
使う家電によって、出力端子はさまざまです。ポータブル電源に備え付けられている出力端子の種類と数にも注目しましょう。
一般的な家電に付いている電源プラグに対応するAC出力ポート、USBポート、車用のアイテムで主流のDC出力ポートの3種類があると便利です。特にUSBポートは使う機会が多いでしょう。そのためUSBポートは複数あるほうが便利です。出力端子の数もチェックすることで、自分に合った1台を見つけやすくなります。
幅広い用途に使うなら「正弦波」
ポータブル電源から供給される電力には波形があり、モデルによってその形が異なります。正弦波(せいげんは)と矩形波(くけいは)に大きく分けられますが、特にこだわりがない場合は正弦波のモデルを購入することをおすすめします。
正弦波は家庭用のコンセントの出力波形と似ており、ほとんどの家電に対応しているのが特徴です。一方で矩形波は、波の形がやや特殊なため、パソコンなどの精密機器への給電には向いていません。ライトや扇風機など、シンプルな作りの家電であれば使用できます。
ただし矩形波のモデルには、安価に購入できるというメリットもあります。
充電方法が選べると便利
ポータブル充電器はAC端子を通して充電するのが一般的でしょう。しかしモデルによっては、ソーラーパネルやシガーソケットから充電できるものもあります。複数の充電方法に対応しているものを選ぶと便利でしょう。 ソーラーパネルで充電できれば、キャンプ中だけでなく、災害によって停電した場合でも電気を確保しやすくなります。シガーソケットから充電できるタイプであれば、車中泊中も充電できて便利でしょう。車から充電できれば、災害時にも使うことができます。
まとめ
ポータブル電源の寿命は、使う頻度や保管方法にもよるものの、長くても10年と見積もっておきましょう。寿命を長持ちさせるには、風通しのよい涼しい場所でバッテリー残量60〜80%の状態で保管することがポイントです。またパススルー充電はできるだけ避けましょう。
ポータブル電源はキャンプや災害時に活躍するアイテムです。ポータブル電源を選ぶ際は、使用目的に合った電池容量と周波数、波形のものを選ぶことをおすすめします。AC端子だけでなく、ソーラーパネルやシガーソケットからも充電できるものであればなお便利です。
ポータブル電源の特徴を押さえて、自分に合った1台を選びましょう。